治療方針

当医院の大前提となる治療方針として「できるだけ削らない治療」を掲げています。これまでの虫歯治療は、早期発見のもと、わずかな患部も見逃さず削り取り、詰め物をするというものでした。しかし、この治療を繰り返すと削る範囲が広がり、健康な歯を失うことになりかねません。世の中に2つとない患者さまの天然歯を守るため、常々「どうすればできるだけ削らずに済むか」を考えて診療を行なっています。

今までの虫歯治療では、虫歯が広がるのを防ぐために、虫歯になりやすい部分まで拡大して削り、金属の詰め物に置き替えるという考え方が一般的でした。また、虫歯が神経の近くにまで達していて痛みが生じる可能性が高い歯は、前もって神経を取る治療を行なっていました。
しかし、MIの方針で考えてみると、上記の治療方法は間違いとなります。MIの考えに沿った治療方法は、虫歯に冒された部分のみを削り、その形で充填できる材料で治療するという結論になります。そうすれば、歯の健康な部分は、ほとんど削ることなく残せるからです。

予防先進国といわれるスウェーデンでは、予防を国民に推奨してきた結果、75歳で平均19.5本の歯が残っているという調査結果があります。一方日本では、80歳でわずか6.8本の歯が残っているのが現状で（厚生省調べ）、まだまだ歯科予防が浸透しているとはいえません。
現在では、虫歯や歯周病の原因が解明されており、そうした病気を未然に防ぐためのリスクコントロールの方法が確立されています。
自らのリスク（生活習慣やブラッシング方法）を探り、そのリスクをコントロールして、虫歯や歯周病が再発しないように改善することが本当の治療だと私たちは考えています。そうすれば、年齢を重ねても、歯で苦労する心配はありません。「予防こそが最良の治療」なのです。

患者さまの診察を経て、歯科医師の判断だけでもっとも効果的と思われる治療を行なう…。一見正しい方針のように思えますが、実は患者さまの意思が不在のまま治療が進められています。一口に治療といっても、使用する薬剤や充填物のタイプ、それに最終的なゴールは治療方法によってさまざまです。まずは患者さまが望む治療を伺い、そのうえで最善の治療方法を提案いたします。わからないところはご納得いただくまで丁寧に説明いたしますので、どんな小さな疑問でもお聞かせください。

私自身、小さいころは歯医者が苦手でした。虫歯だらけであるにもかかわらず、治療に連れて行かれては大泣きし、親と歯医者を困らせていました。
歯科医院は痛い・怖いというイメージがあり、できれば通いたくないというのが、多くの方が持っているイメージだと思います。
しかし、そのために足が遠のき、食事のおいしさを楽しめなくなったり、歯が気になって思いきり笑えなくなったりしたら、生活を送るうえで非常に残念なことです。

歯の健康を守り育てるためには、予防が最良の治療方法となります。しかし、歯の状態が悪くなってしまった場合は、できるだけ精度の高い治療を選択することが大切です。精度の高い治療とは、一定以上の技術力を身につけた歯科医師が、技術力を発揮できる時間の余裕を持ち、変性しない充填物で修復する治療のことです。
1本の歯は、お口全体の状態に大きくかかわります。バランスのとれない歯が1本でもあると、後々お口全体を治療せざるを得なくなる危険性をはらんでいます。
精度の高い治療を選択することは、お口の長期的な健康はもちろん、質の高い生活を手に入れることにもつながります。
もりした歯科医院では、患者さまの貴重な時間と費用を無駄にしないための技術力を身につけ、常に向上できるように研鑽いたしております。

このように再治療のたびに修復物が大きくなり、最終的には治療の繰り返しが原因で抜歯せざるを得なくなる場合があります。歯の寿命は年齢と比例するだけとは限りません。再治療のリスクを下げることが、歯の寿命を延ばす最善の方法だといえます。